The Construction of Change
-Original Publication-
Cambridge Opinion 41 (Modern Art in Britain). 37-42, 1964.
【本文内容】
-Introduction- 〔pp.127-128〕
-要約-
1961年、Allan Kaprowが報じた事件がニューヨークでセンセーションを巻き起こした時、(Allan Kaprowは「ハプニング」と呼ばれる、新しいアート形式を作り出した。それは実体アート作品の範囲を超えていて、動作、過程、出演者と観客の参加に注目している。)ロンドンではロイ・アスコット(Roy Ascott)がウィナー(Wiener)のサイバネティックスに基づいてアート(とアート教育)を再建していた。ここで再印刷された文章は、このテーマに関するアスコットの最初の出版物である。サイバネティックスとアートのつながりを提唱した最初の著作の一つでもあり、ニューメディアである手続き的技術と美学/デザインの融合のための創始文書となっている。1960年代の残りの期間、「サイバネティックスとアート」とのつながりが注目され続ける。より一般的に言えば、アートの興味は概念、情報、行為と相互作用の面で今日まで続いている。 本論文の第2部におけるアスコットのエクササイズは、脱物質化されたアート(オノ・ヨーコのインストラクションに従う)としても、イーリング・スクール・オブ・アートで行われた具象化された仕事の直接報告としても解読することができる。 -Art and Didactics-〔pp.128-129〕
-アートと教訓の方法-
創作過程は文字の記述を超えた総合的な行為を要求しているが、アート活動のいくつかの面は理性的に見て設定することができる。多くの面から言えば、アート作品の結果ではなく、一人が何をするかを議論し、創造的な活動の循環を解こうとすることは行為の問題である。アーティストの行為は、彼が創造した作品と同様に重要である。アート、科学と個性を融合しているということである。文化は社会を調整し、形づくるものである。アーティストは象徴的なレベルで社会的に機能している。アーティストは象徴的な領域を選んで行動し、見慣れた材料の制限を自分のために設け、未知のものを発見しようと試みる。
しかしながら、科学思想は発見されたものを強化したり拡大したりすることができる。創造的な飛躍は科学においても行われている。科学は、予測不可能なものを限界的に予測(測定)できるようにする。象徴的または儀式的な機能を持つ可能性があるが、実用的な仕事では実際の権力と一緒に動作する見られている。予測を通じて、未知の未来がもたらす不安が減少しました。制御することで、出来事の偶発的な現象を減らし、我々に有利になる。
アーティストの活動は彼の同胞の前で象徴的な存在を示しており、絶対的な選択と責任、そして計り知れないリスクを負う権利があれば、世界と彼自身の身分は彼の意志によって形成される。それは人間の実際の生活の中で絶えず最良の制御と創造力を追求することを代表している。
著者は、アート、科学、行為との間の関係を明らかにしようとする中で、自分の仕事に妥協することなく、指導の場に関わることができるようになってきた。「創造的な活動と教育学的な活動という⼆つの活動は相互に作⽤し合い、それぞれがお互いの活動にフィードバックする」この見解について議論した。
著者から見れば、今⽇のアートの教育的、社会的な役割を強く意識する必要があるのだ。社会は大きな転換期にある。我々の環境の中で最も大きな変化は科学と技術のおかげである。「アーティストの道徳的責任は彼にこれらの変化を理解しようとするべきだと要求している。いくつかの科学的思考に対する本当の熟知は的思考にとって不可欠である」と考えている。
-Science and a Discipline for Art-〔pp.129-130〕
-科学とアートにおける教育法-
アート作品は、アーティストと観衆を繋ぐ重要な役割を担うものとして、その存在意義が明確化されていないとされていた。そこで、アーティストが作品の意味を正確に理解するために、人間の知識と認識との間の関係性について言及する可能性があると予想したRoy Ascottは、当時のアーティストにとって必要なのは科学の利用であり、中でもサイバネティクスに焦点を当てるべきだと主張した。 また、行動科学という分野だけではアート全体の枠組みを理解し構築することはできないとされており、その枠組みの理解に向けてアーティストらは、人間の生活や世界を知ろうと視覚的観察や直感的判断に加え、自身の経験に頼っていたが、それだけでは不十分であると分かった筆者は、アートの発想の基盤構築のための必要材料として科学を強調した。 全体的に見ると、科学は多方面に渡って用いられているが、科学の研究領域はあまりに専門的になり過ぎているため、アーティストを含めた非専門分野の人間にとって、それらを参考にし理解することは極めて難しいことである。しかし、あらゆる科学領域に精通しているサイバネティクスは、科学本来の専門的な知識と比較すると、その特徴は総合的であるが故に、科学者だけでなくアーティストらにとっても理解しやすい構造だとされている。 世の中の殆どの事象は、絶え間なく変化することを考えると、アーティストに限らず人間にとって重要なのは、物事の理解の仕方である。即ち、結果や評価に視点を置くのでなはく、その物事が作り出された過程とそれが持つ意味に目を向けることが重要であるということだ。また、これらの模範としてサイバネティクスのような、例えば、その必要性と役割が明確化されているロボットの利用などは、冒頭でもあった「人間の知識と認識との関係性の理解」への第一歩になり、最終的にアートの発想における基盤の構築に繋がるのではないかと、筆者のRoy Ascottは述べている。 -A Groundcourse for Art-〔pp.130-132〕
-アートにおけるグランドコース-
アーティストというのは、己自身の意志や考え方により、展望や創造的な個性を見出すことは可能だが、一人の力だけでは十分とは言えない。実際のところ、優秀なアーティストや科学者などの幅広い多様性に触れることで、真のアーティストとして活動することができる。アーティストがどのような意志や意図を持ってアート活動に取り組んでいようが、まず最初に、他者との関わりの中で創造的な活動のための基礎となる規律を磨かなければならないのである。
そこで、絶え間ない変化の中で多面的に進化し成長していく人間本来の姿を、前提に考えた筆者のRoy Ascottは、アートに向けた新しい教育方式を発案し、自らで指導した。 (次に、この教育方式である「グランドコース」についての指導法や教育の流れに加えて、教育から得た結果やまとめの説明が述べられている。以下省略)
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